起き上がりで右に出る球は、クラブでどこまで直るか手元が2cm浮くとライ角は約3度。クラブの分と、体と動きの分を数字で分ける
更新:2026年10月11日広告を含みます
手元が2cm浮く。それだけで、7番アイアンはライ角を約2.7度フラットに曲げたのと同じ当たり方になります。160ヤード先で、右へ約5ヤード。
インパクトで体が起き上がって右へ押し出す人が、「ライ角が合っていないのでは」と考えるのは筋が通っています。実際、数字の上では少し合っていない。
ただ、5ヤードです。10ヤード、20ヤード右へ出ているなら、残りはクラブの外にあります。
平均72・ベスト68、ふだんクラブの作りばかり調べているギアオタクとして、起き上がりのうちクラブで戻せる分を計算しました。読み終えると、ライ角を調整に出すか、体と動きを先に見るかを決められます。
ギアオタクの本命
起き上がる人のライ角は、曲げない。私ならそうします。 体が起きると、手元が高くなる。手元が高くなると、シャフトが立って、ヘッドの先(トゥ)が下がります。
ロフトの付いたフェースは、トゥが下がると右を向く。ここまでは作りの話で、ライ角をアップライトに曲げれば打ち消せます。でも、手元が浮く量は1球ごとに同じとは限りません。
2cm浮く前提で2.7度曲げたクラブは、起き上がらずに打てた1球を左へ約5ヤード出します。動いている的に、固定の角度を合わせることになる。だから先に触るのは、クラブではなく浮く量のほうです。
この記事の内容
結論
目安を先に置きます。
7番で右へのずれが5ヤード前後。この人は、手元の浮きだけで説明がつく範囲にいます。起き上がりを減らせば、いまのクラブのまま戻ってくる。
10ヤードを超える人。手元の浮きでは足りません。3cm浮いても約7ヤードです。フェースの向きか振る向きが、別の理由でずれています。
右だけでなく、左へのフックも混ざる人。起き上がりの典型です。TPI(米国のゴルフの体の研究機関)は、右への押し出しと左へのフックの両方を挙げています。左右どちらにも出るミスを、1つのライ角では消せません。
手元が1cm浮くと、ライ角は約1.3度フラットになる
7番アイアンで計算しました。使ったのは、スリクソン ZXi7 の7番の公式スペックです。長さ37インチ、ライ角62度、ロフト32度。
| 手元が浮く量 | ライ角のずれ | フェースの向き | 160ヤード先の横のずれ |
|---|---|---|---|
| 1cm | 約1.3度フラット | 右へ約0.8度 | 右へ約2ヤード |
| 2cm | 約2.7度フラット | 右へ約1.7度 | 右へ約5ヤード |
| 3cm | 約4.2度フラット | 右へ約2.6度 | 右へ約7ヤード |
1cmで1.3度。思ったより大きい。
理由は単純で、アイアンは立てて構えるクラブだからです。
7番のグリップの端は、地面から約83cmの高さにあります(筆者の計算)。クラブの長さは約94cm。もうかなり立っているので、あと少し上げるだけで角度が大きく動きます。
ライ角1度あたりに直すと、フェースは約0.6度、160ヤードで約1.7ヤード。
この0.6度は、チーピンとライ角の記事で出した数字と同じ式です。ロフトが大きいクラブほど、同じ1度でフェースが大きく傾く。ウェッジなら1度で約1.5度、ドライバーなら約0.2度でした。
つまり、起き上がりの影響が球の向きに出やすいのは短い番手のほうです。
ドライバーで右へ出る球を、手元の浮きで説明するのは苦しい。ライ角が3度ずれても、フェースは0.6度しか動きません。
メーカーの説明とも向きは合っています。タイトリストはドライバーの調整機能の解説で、ライ角を0.75度アップライトにすると着弾点が約2ヤード左に変わるイメージ、と書いています。フラットなら右。
数ヤードの単位の話だ、というところも同じです。
起き上がりは、下半身がボールへ近づく動き
言葉をそろえます。
起き上がりは、英語でアーリーエクステンション。TPI は「ダウンスイングで、下半身がボールの方へ前に出る動き」と定義しています。
頭が上がることだと思われがちですが、定義の主語は下半身です。
腰がボールへ寄る。すると腕の通り道がなくなる。体を起こして場所を作るしかない。その結果として、手元が浮きます。
TPI が挙げている原因は3つあります。
- 深くしゃがめない。股関節や下半身の動きに制限があると、起き上がりやすくなる。
- 上半身と下半身を別々に回せない。背骨やあばらまわりの硬さから来ることが多い。
- 下半身を止めておけない。お尻とお腹の筋力に比例する。
3つとも体の話でした。クラブは1つも出てきません。
起き上がりは「形の悪い癖」として語られることが多い。でも TPI の並べ方だと、癖より前に体があります。
しゃがめない体で前傾を保て、と言われても無理がある。形を直す前に、体が動くかどうかを見るのが先だと私は思います。
壁としゃがむ動きで、原因の側が分かる

家でできる確かめ方が2つ、練習場でできるものが2つあります。お金がかからない順に並べました。
- 壁の素振り(0円)。お尻を壁に軽くつけて構え、ゆっくり素振りを5回。ダウンスイングでお尻が壁から離れたら、起き上がっています。オンラインレッスンの Skillest が、動きの癖を見るテストとして紹介している方法です。
- しゃがむテスト(0円)。足を肩幅に開き、つま先を前に向けて、かかとを床に着けたまま太ももが床と平行になるまでしゃがむ。できなければ、股関節の動く幅が足りていない目安です(同じく Skillest)。
- 右に出る番手を数える。練習場でドライバー・7番・PWを5球ずつ。短い番手ほど右に出るなら、手元の浮きとライ角の並びです。ドライバーも同じように右なら、ライ角では説明がつきません。
- ソールの跡を見る(数百円)。ソールに養生テープか、打った跡が残るシールを貼って、練習場の硬いマットで5球。跡がトゥ側(先)に寄っていれば、トゥが下がって当たっています。
1でお尻が離れて、2でしゃがめない。この人は体が先です。
1で離れるけれど、2はできる。体は動くのに起き上がっているので、動きの癖。
1も2も問題がなく、4でトゥ側に跡が付く。ここで初めて、クラブのライ角を疑えます。
4だけ先にやるのは、すすめません。
トゥ側に跡が付いても、それがクラブのせいか、起き上がりのせいか、跡からは区別がつかないからです。順番に意味があります。
動きの側は、まずボールとの距離を見る
動きの直し方は、深入りしません。出典のある話を1つだけ。
TPI の共同創設者デイブ・フィリップスは、米国の GOLF.com の記事で、ボールから遠く立ちすぎる人が多いと話しています。
遠く立つと、バランスを取ろうとして体が揺れる。骨盤がボールの方へ動く。そこから起き上がりが増える、という説明でした。彼は選手を、ボールに近く立たせるそうです。
遠く立つ人ほど、起き上がる。
逆に考えていませんでしたか。窮屈だから起き上がる、と考えて離れて立つ。それが裏目に出ている場合があります。
次の練習で、いつもよりボール半個ぶん近く立って5球。0円で試せます。
しゃがむテストができなかった人は、打ち方より先に、股関節まわりを動かすところからです。どの運動が合うかは体によって違うので、ここでメニューは書きません。痛みがある人は、運動の前に医療機関へ。
自分で直しにくければ、動画を撮ってレッスンで見てもらうのが早い。クラブと動きのどちらを先に触るかは、レッスンとクラブ、どっちが先かに曲がり幅の線引きを書きました。
道具の側でやるのは、跡を見るところまで
クラブでできることは、多くありません。正直に並べます。
ライ角の調整は、起き上がりが落ち着いてから
軟鉄のアイアンなら、工房でライ角を曲げられます。ただし順番は最後です。
起き上がりが残ったまま合わせると、起き上がりが減ったときに合わなくなる。もう一度曲げ直すことになります。
壁の素振りでお尻が離れなくなった。それでもソールの跡がトゥ側に寄る。この2つがそろったら、調整に出していい時期です。
跡の読み方には目安があります。クラブ設計者のトム・ウィッシュン氏は、跡がソールの真ん中から約6mmずれるごとに約1度、と書いています。出典と貼り方はチーピンの記事の「打ったときの形で合わせる」の節に載せました。
カタログのライ角は、構えたときの数字
スペック表の62度は、ソールを地面に平らに置いたときのシャフトの角度です。打つ瞬間の角度ではありません。
同じ62度のクラブでも、手元が2cm浮く人が打てば、当たるときは59度あまりのクラブと同じ向きになる計算です。
だから、身長や手の長さだけでライ角を決めると外れます。跡を見る。スペック表のほかの数字の読み方は、スペック表の見方にまとめました。
買い替えでは直らない
ヘッドを替えても、シャフトを替えても、腰がボールへ寄る動きは変わりません。
起き上がりを理由に新しいアイアンを買うのは、私はすすめません。お金はレッスンか、体のケアに回したほうが球は変わります。
買い替えを考えているなら、理由は別のところに置いてください。たとえばZXi5 と ZXi7 の違いのように、ロフトや重さの流れで選ぶ話です。
ライ角を触らなくていい人
- 右へのずれが10ヤードを超える人。手元の浮きで説明できるのは、3cm浮いても約7ヤードまでです。
- 右にも左にも出る人。起き上がる量が1球ごとに違っています。固定の角度では追えません。
- ドライバーも同じように右へ出る人。ロフトの小さいクラブに、ライ角はほとんど効きません。
- 壁の素振りで、お尻が離れる人。先に触るのは動きか体です。
お金のかからない順に並べます。壁の素振り(0円)。しゃがむテスト(0円)。ボールに半個近く立つ(0円)。ソールの跡を見る(数百円)。レッスンで動画を見てもらう。ライ角の調整は、そのあとです。
持ち帰ってほしいのは3つ。
手元が2cm浮くと、7番は右へ約5ヤード。
起き上がりの原因に、クラブは入っていない。
ライ角は、起き上がりが落ち着いてから跡で合わせる。
次の練習の前に、壁の前で素振りを5回だけやってみてください。お尻は、最後まで壁に付いていましたか。
更新履歴
この記事の書き手と出典
書いたのは、平均スコア72・年間150ラウンドのゴルフガチ勢で、ギアを研究するギアオタクです。
数字は下の出典で2026年10月11日に読み直しました。更新日は2026年10月11日です。
よくある質問
起き上がりで右に出るのは、ライ角が合っていないからですか?
一部はそうです。
手元が2cm浮くと、7番アイアン(長さ37インチ・ライ角62度・ロフト32度)はライ角が約2.7度フラットになったのと同じ当たり方になり、160ヤードで右へ約5ヤード出る計算です(筆者の計算)。
10ヤードを超えるずれは、手元の浮きだけでは説明がつきません。
起き上がりはクラブを替えれば直りますか?
直りません。TPI が挙げる原因は、深くしゃがめないこと、上半身と下半身を別々に回せないこと、下半身を止める筋力の3つで、どれも体の側です。クラブを替えても、腰がボールへ寄る動きは変わりません。
起き上がる人は、ライ角をアップライトに調整したほうがいいですか?
起き上がりが残っているうちは、すすめません。手元が浮く量は1球ごとに同じとは限らず、起き上がらずに打てた球が左へ出るからです。壁の素振りでお尻が離れなくなり、それでもソールの跡がトゥ側に寄るときが、調整に出す時期です。
自分が起き上がっているか、家で確かめる方法は?
お尻を壁に軽くつけて構え、ゆっくり素振りをします。ダウンスイングでお尻が壁から離れたら、起き上がっている目安です。あわせて、かかとを床に着けたまま太ももが床と平行になるまでしゃがめるかも見てください。
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この記事の情報源
- TPI:Early Extension(定義・典型的なミス・体の原因)
- Skillest:How to Fix Early Extension(壁のテスト・スクワットのテスト、2026年5月30日)
- GOLF.com:Why standing closer to the ball can fix early extension(Dave Phillips の説明、2021年8月23日)
- ダンロップ公式:スリクソン ZXi アイアン(7番の長さ・ライ角・ロフト)
- タイトリスト日本公式:SureFit の賢い活用法(ライ角0.75度で着弾点 約2ヤード)
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